9.犬の成長

幼犬期

  • 生後2~3ヶ月頃は、仔犬の 『社会化期』 と呼ばれ、社会性を養う大切な時期です。
    それまで動き回ることも少なく、母犬のお乳を飲んでは眠るだけだった生活から、自分の肢で歩き回るようになり、兄弟犬や母犬とのじゃれ合いを通じて、犬としての行動の基本ルールを学んでいきます。
    まず、強く噛んだことを兄弟犬や母犬から叱られることで、力加減をすることを覚えます。そして、兄弟ゲンカの中で、負けを認めたら服従の姿勢を取ってそれ以上の争いを避けることを覚え、同時に服従姿勢を取った相手を攻撃してはいけないことを覚えます。
    その後、社会化期の後半に入ってからは、兄弟犬や母犬以外の犬と触れ合うことで、初対面の相手とどのように接すればいいのかを学んでいきます。

犬の社会化

  • 健全な社会化期を過ごして十分な社会性を身につけられるかどうかは、その仔犬のその後の一生を左右するほど重要な意味を持っています。
    生後1ヶ月程度のあまりに早い時期に親兄弟から離されてしまうと情緒不安定になりやすく、犬同士の付き合い方を学ぶことができなかったために、他の犬を見るたびにケンカをしたり、必要以上に怯えるなどの問題が起こりやすくなります。
    また、攻撃を抑制することが出来ず必要以上に攻撃的になったり、他の仔犬や人間の子供など、自分より弱者に対して手加減できない、寛容さを持てないなどの深刻な問題が起こる可能性も高くなります。
    他にも、上下関係のルールも知らないために、しつけも難しくなる傾向にあります。

    新たに仔犬を迎えるならば、生後2ヶ月間は母犬や兄弟犬達と共に過ごした後、8週目~12週目(生後3ヶ月目)の時期が最適です。
    この頃は、ちょうど社会化期の後半にあたり、母子以外の外部に対する社交性が集中的に養われる時期です。

反抗期

  • それまでは素直なイイコだったのに、生後4ヶ月を過ぎた頃から反抗的な行動をとることがあります。
    人間の子供でいえば反抗期のようなこの行動は、犬の本能による「順位付け」 によるものです。
    犬の社会は完全な縦社会で、上下関係がはっきりしています。
    順位が下の犬が上位の犬やリーダーに逆らうことは許されず、そのため仔犬は成長過程で自分の群れの中での位置を確認する必要がでてきます。
    家庭で飼われている犬の場合、反抗的な態度をとることで、家族という群れの中でリーダーは誰か、自分はどの位置にいるのか、どこまでが許される行動なのか、ということを確認しています。
    順位付けのための挑戦をする場合、仔犬はまず自分と最も近い立場の相手に向かっていきます。小さな子供のいる家庭では、その最初に向かって行く相手として、子供が選ばれてしまうことが多くあります。
    子供だけに飛びつく、唸る、噛みつく、服を噛んで振り回そうとする、などの行動は、子供に対する仔犬の挑戦ですので、大人がしっかりとした対処をしなくてはいけません。
    権威あるリーダーとして、子供を甘く見ている仔犬の態度を叱り、同時に子供にも正しい犬との接し方を教える必要があります。

成犬・性成熟期

  • 生後6ヶ月~1年の間に、仔犬は性成熟を迎えます。
    性成熟の時期には個体差がありますが、一般的に小型犬ほど早く、大型犬や超大型犬は遅くなる傾向にあります。
    メスならば最初の発情を迎えることで、性的に成熟したことがわかります。
    オスの場合にはいつ性成熟を迎えたかの判断は難しくなりますが、片足を上げてオシッコをするようになったら、性的に成熟したと判断されます。
    去勢・不妊手術を考える場合には、あまりに早い時期で手術をするとホルモンのバランスが崩れ、成長不良や精神的に不安定になるなどの弊害が出ると考えられているので、ある程度性成熟を迎えてから、ということになります。目安としては、メスでは最初の発情が終わってから。オスでは肢をあげてオシッコをするようになってから、となります(共に、生後7~10ヶ月頃)。

☆老犬

  • 犬はおおまかに、7歳ぐらいから老化の兆しが見え始めます。
    現在、家庭犬の平均寿命は約12~15歳。つまり、「老犬期」が昔よりも長くなっているということです。
    犬も人間と同じに、歳を取ると小さな段差が昇れなくなったり、家具に頭をぶつけたり、床を滑って転んだりと、五感や筋肉の衰えによって生活に不都合を感じる部分が増えてきます。また、体温調節機能の低下によって、暑さ寒さが身にこたえるようにもなってきます。

老犬用・住環境の整備

  • ●室外の場合
    ・犬舎の場所…
    室内からよく見える場所に犬舎を置きます。夏は、日陰で風通しのよいところに。(よしずなどで日陰をつくるのもいいでしょう)
    冬は、北風の吹き込んでこない、日当たりのよいところに(ダンボールで小屋の周りを
    囲むのもいいでしょう)。
    梅雨時は、水はけのよい乾燥したところや、雨のあたらない軒下へ移動しましょう。

    ・犬舎の改善…
    犬舎の段差はなくし、ゆとりある大きさに。犬舎に風が通るように小さな窓をつけて。
    犬舎の中の敷物はいつも清潔に。冬は毛布を敷いて暖かくしてあげましょう。
    蚊取り線香などをつけて害虫対策を。

    ●室内の場合
    ・トイレ…加齢とともに膀胱の筋肉が衰え、排泄回数が増えるため、ハウスの近くにトイレを置きましょう。
    ・家具…加齢とともに視力が衰え、家具などに頭をぶつけたりしてケガをする心配があるので、家具の角にクッションとなるものをつけてあげましょう。
    ・床…畳やフローリング、タイルの上は、滑って転ぶ心配があるため、滑り止めにカーペットなどを部屋全体に敷きましょう。部分マットだと段差ができたり、マットごと滑ったりするので避けます。また、毛足の長いものも爪が引っかかったりして、ケガをするかもしれないので避けましょう。
    ・段差…加齢とともに筋力が衰え、小さな段差にもつまずくようになるので段差をつくらないようにしましょう。
    ・気分転換…散歩に行きたがらなくなったら、外が見えるところにマットなどを敷いて、気分転換となる場所をつくってあげましょう。